3つのストーリータイプ

文章は、流れによって読み手の納得感が変わり、それに続くアクションが行われるか否かが決まります。流れにはさまざまな形があり、扱う内容や目的によって使い分けることが大切ですが、以下の3タイプを使えば十分な成果を得られます。

大企業や抜け漏れのない商品の紹介:一般論から各論

中小企業や大きな特徴のある商品の紹介:各論から一般論

大企業や中小企業、複数の特徴のある商品の紹介:比較列挙

常識となっている一般論で納得させられるのなら、基本的にはそれが1番です。読み手にとっても納得しやすく、また安心感もあります。しかし、すべての商品やサービスが常識の中で輝くわけではありません。大企業や定番商品のようにすべての要素を完璧に満たせない場合、何かしらエッジを効かせます。それを上手に伝えるのが、「各論から一般論」や「比較列挙」のストーリータイプです。

勝つべくして勝つ「一般論から各論」タイプ

一般常識となっている「良い」ことを確認した上で、それを満たす商品を紹介するのに敵した、勝つべくして勝つ内容を扱う際に効果的なストーリータイプです。例えば、好条件の物件を紹介するなら、「良い」条件の一般論から入り、条件の各論で読み手に具体性を与え、そしてそれを満たす物件だ、という流れで紹介すれば納得してもらえるでしょう。

快適な生活を送るには、はずせない住宅の条件があります。それは、通勤や通学を楽にする駅からの距離、日々の生活を明るく快適にする日当たり、そして、設備やきれいさを決める築年数です。

今回ご紹介するのは、そんな条件を全て満たした、素敵な生活を実現する駅近、南向き、そして住みやすい新築物件です。ぜひ一度ご連絡ください。

一点突破「各論から一般論」タイプ

一般常識となっている「良い」条件が不足している場合、大きな特徴となる「一部」に焦点を当てるストーリータイプです。1つのことに集中することで、ときには平凡なところや欠点をも長所にしてしまう、一点突破でインパクトを与えられる便利なストーリーです。例えば前項の例とはまったく逆の、好条件をすべて満たさない物件なら、そのような物件が一部で人気であるという各論から入り、実はとても割安でお得だから皆にもお勧めだと一般論化すれば、購入してもらえるでしょう。

実は駅から遠く北向き、築年数の古い物件が密かなブームになっていること、知っていますか?それはこの条件を備えた物件は、同じエリアや同じ設備の物件と比較すると、総じて圧倒的に割安だからです。

今回ご紹介するのは、この今注目の条件を備えた、非常に割安な物件です。憧れのエリアに住むチャンスです。ぜひ一度ご連絡ください。

特徴のない商品を輝かせる「比較列挙」タイプ

複数の点で競合商品や市場平均より優れた商品を紹介する際に、有効なストーリータイプです。すべての条件は満たしていない、かといってエッジの効いた特徴もない、そんな特徴のない商品を魅力的に見せることも可能です。例えば、前2つの例の続きで考えると、人気の3条件は満たしておらず、突出した特徴もない物件でも、ほかの物件と比較したり、該当エリアや市場の平均と比較したりすることでお勧めできます。

今回ご紹介する物件は、同条件の物件と比べ価格が安く、騒音や人目を気にしないでよい、人気の2階以上にある物件です。東京都の中でも治安のよい〇〇地域で、築年数も比較的新しくおすすめです。ご興味のある方は、ぜひ一度ご連絡ください。

完璧な商品、完璧なサービスだけを紹介できるのなら苦労はしません。しかし、何かしら競合の商品に負けていたり、これといって特徴がない商品やサービスを紹介しなければならないことのほうが多いのも現実です。どんな場合も目的のアクションに導く、それが本当のライティングであり、そのために、上記の3つのストーリーがあります。

実践:あらすじの作成

企画で決めた「新生活に向けて、賃貸物件を借りる際に外せない条件」という話題、「新生活に向けて一人暮らしを始めようと思っている若者」をターゲットにして、以下の2通りの目的のあらすじを作成しましょう。

  1. 人気の条件を満たす多数の物件を扱う大規模A不動産屋への誘導文
  2. 多少の欠点はあるが、特徴のある物件を扱う中小規模B不動産屋への誘導文

あらすじを作成する前に、目的に合わせて結論を決める必要がありますが、今回は、Yahoo!知恵袋のベストアンサー「騒音」を利用したいので、誘導先のページを「騒音のない物件特集」にします。

A不動産の誘導文のあらすじ

A不動産は、大企業で扱う物件も優良物件ばかりであること、不動産は高額な商品であるため信頼が大切であることをふまえ、つかみは安心や信頼感を与えるために常識から始め、ストーリータイプは勝つべくして勝つ「一般論から各論」タイプを利用します。

つかみ:常識から開始

ストーリー:一般論から各論

結論:騒音

これを「起承転結」の構成にあてはめ、あらすじを作成すると、以下のようになります。最終的に、「人気条件を満たしたA不動産の物件から、特に「騒音」の心配のない物件を集めた特集をご覧ください。」と誘導する流れです。

:新生活を快適に過ごすために部屋選びは非常に重要

承:お部屋選びには、様々なこだわりの条件がある

転:では、快適な生活を送るために最も重要な条件は何か

結:それは騒音だ

B不動産の誘導文のあらすじ

B不動産は中小企業で、そのままでは興味を持ってもらえない可能性があるため、つかみは常識の反対から始めてインパクトを与えます。扱う物件は欠点はあるものの特徴がある物件なので、ストーリータイプは一点突破を目指す「各論から一般論」タイプが良いでしょう。

つかみ:常識の反対から開始

ストーリー:各論から一般論

結論:騒音

これだけでまったくほかの情報がないと、A不動産と異なる内容にするのは難しいので、書店での情報収集の結果、「若者の中に1、2年で引っ越しを繰り返し、さまざまな街での暮らしを楽しむ人が増えている」情報を得たことにします。すると以下のようなあらすじを作成できます。

起:1、2年で引越しを繰り返し、様々な街での暮らしを楽しむ人が増えている

承:便利なサービスの登場で引越しも楽だし、更新料を考えると損でもない

転:様々な街を楽しむなら、物件は最低限の条件を満たせば良いのではないか

結:騒音さえなければ問題ない

そして最終的に、「さまざまな環境を楽しむことができ、多くの特徴ある物件を扱うB不動産の物件の中で、「騒音」の心配のない物件を集めた特集を、ぜひご覧ください。」と誘導する流れです。

同じターゲットに対して、同じ情報をもとにし、同じ結論で作成したあらすじですが、受ける印象は大きく異なると思います。同じ情報を利用しても、内容や目的にょってストーリーを使い分ければ、いつでも目的の成果を上げられるようになります。

ストーリータイプは内容と目的に合わせて選択

適切なストーリーは、読み手を自然に納得させます。内容と目的に合わせ、「一般論から各論」「各論から一般論」「比較列挙」の3タイプから選択しましょう。