各データの適正値は?
個人のWebサイトなら、利用者が1年で月3万人になれば十分ですが、大企業が予算をかけて運営しているのなら同じ成果でも問題があります。Webサイトは、作成してからの時間や現在のステージ、扱っているテーマやその目的、そしてライバルの状況などさまざまな環境要因の影響を受けます。また、作成に割ける時間や予算、そして目標とする成果など、さまざまな内部要因の影響も受けます。これらの要因は千差万別なため、常に目標にできる基準値は決められません。
比較対象は過去と将来の自分
データ分析のための基準値はありません。また、ほかのサイトのデータと比較しても、諸条件が異なるため適切な分析はできません。比較は条件の近いサイトとすべきであり、もっとも条件が近く比較に適するのは、対象サイトの過去のデータです。
アクセスデータを時系列に並べ、大きな変化が起きたときや、目標に届かないと思われるときに、問題点を推定し、改善策を決め、計画を立て、実行します。そして、実行した前後でどのような変化があったか確認するのが、PDCAサイクルを回すということです。これにより、対象サイトにおける有効な方法や分析ポイントがわかってきます。
すぐに効果を確認する方法
データ比較の基本は、「過去の自身のデータ」と比較することです。しかし、それには十分量の過去のデータがないと、効果検証ができません。結果をすぐに確認し、早く改善作業を行いたい場合によく利用される方法も知っておきましょう。
比較の基本:A/Bテスト
A/Bテストとは、複数の案を用意し、その効果を比較検証することをいいます。例えば、キャッチコピーの案が複数あったとき、キャッチコピーだけを変えたWebページを複数作成し、それぞれのデータを比較してもっとも優れている案を確認します。データを取得しやすく、すぐに変更できるWebページでは非常によく利用される手法で、同じ条件下での比較ができるため、有用なデータを取得できます。Googleアナリティクスを利用すれば、簡単にA/Bテストを実施できるので、ぜひチャレンジしてみましょう(Sec.74参照)。
A/Bテスト実施時の注意点
A/Bテストでは、必ずしっかりした仮設を立て明確な違いを作りましょう。
仮説がなければ有意な差が確認できたとしても、何よってその差が生じたかがわからず次につながりません。また、明確な違いがないと、コンテンツの違いによる差より、利用者やタイミングの違いによる差の影響のほうが大きくなってしまうこともあります。
分析時の基準はあくまでも「自分」
データ分析の際に基準とする値は、過去のデータ、目標のデータ、そしてA/Bテストによって得られる現在のデータです。すべてに共通する基準値はありません。