ダマすのではなく効果的に伝える

これまで触れたように、2000年代後半から検索エンジンの技術は飛躍的に高くなってきており、初期に効果の高かった「裏ワザ」的な手法はほとんど通用しなくなってきています。そしてこの傾向は、これまでのIT技術やWeb世界の進歩の速さを考えると、停滞することなく続いていくでしょう。

ですから、多少の効果があったとしても、検索エンジンをだまし検索順位を上げようとする行為は、長い目で見ると非常に効率の悪い方法といえます。検索エンジンが何を求めているのか「本質」を考え、それに沿った長く評価されるであろうコンテンツを作成し、そのことをより早く、より効果的に検索エンジンに伝えることが重要になります。

検索エンジンは決して敵ではありません。「ダマす」のではなく「効果的に伝え」仲良くつき合っていくことが、これからのSEO対策には求められています。

基本はコンテンツのオリジナリティ

Googleの「品質に関するガイドライン」によると、「どうすれば自分のウェブサイトが独自性、価値、または魅力のあるサイトといえるようになるかを考えてみる。同分野の他のサイトとの差別化を図ります。」(https://support.google.com/webmasters/answer/35769)と、推奨されています。このように、検索エンジンは「オリジナリティ」の高いコンテンツを求めているのです。

検索エンジンは、無数にあるWebサイトの中から最適なWebサイトを選び、利用者が望む情報を提示するサービスです。ですから、利用者に提示する選択肢が増え、より細かなニーズに対応できるようになることは望んでいますが、似たような情報ばかりが増え、選択肢は増えないのに管理コストだけが増えることは望んでいません。検索エンジンを提供するのも営利企業です。より低いコストでより質の高いサービスを提供できることを望み、それを実現してくれるパートナーを優遇するのは当たり前です。そしてその鍵となるのが「利用者に提示する選択肢を増やすこと」、つまり「オリジナリティの高いコンテンツを作成すること」なのです。

より効果を発揮するWebコンテンツを作る

これからの最善の方針は、オリジナリティの高いコンテンツを作成することです。そしてその際、SEO対策のための諸作業に加え、以下の3点に注意することで、より大きな成果を上げるWebコンテンツを作成できます。本書では、第2章以降の実際のWebライティング作業の中で、これらの具体的な方法を解説していきます。

・話題になっており、一過性でないテーマ(企画)
・利用者に目的の行動を行わせる文章構成(執筆)
・理解しやすく、よりインパクトのある形式(編集/校正/キャッチコピー)

効果的に伝えるための、文法と対策

高いオリジナリティのWebコンテンツが作成できれば、SEO対策は基本的に終了しています。しかし、技術が飛躍的に向上したとはいえ、まだ検索エンジンの技術も完璧ではありません。良いコンテンツを作成したことを検索エンジンに効果的に伝えるための、最低限の文法と対策が必要になります。

適切に伝えるためには、努力が必要

検索エンジンは、ときには人力チェックも交えることで、違反行為をかなりの高い精度で判別できるようになってきています。しかし、評価の面ではまだまだ抜け漏れがあり、正当に評価してもらえない場合があります。Web上に無数にあるコンテンツの中から、できたばかりのコンテンツを見つけ出すにはある程度以上の時間がかかりますし、また、単語がスペースで区切られる英語圏で生まれた検索エンジンサービスには、すべての単語が隙間なく続き、動詞や形容詞、形容動詞などがさまざまな活用変化をする日本語を理解するのはなかなか難しい面もあります。そして、Googleは「デザインとコンテンツに関するガイドライン」の中で、現状では画像の内容を正確に把握できる状況ではないことも示唆しています。

使い慣れた日本語を使って友人や家族、パートナーと話をしていても、自分の意図や気持ちを100%伝えることは難しく、すれ違いは頻繁に起こります。それが、まったく慣れないWebの言語で、まだ抜け漏れがあるシステムを相手に、内容を伝えなくてはならないのです。いくら良いコンテンツを作成したとしても、正確に伝えるために、最低限の文法の理解と伝える努力が大切になるのは理解にかたくないでしょう。

最低限の文法と対策とは?

Web上に無数にあるコンテンツの増減を瞬時に把握することは、最先端の技術を有する検索エンジンでも難しいため、新規に作成したWebサイトやコンテンツの情報を聞いてくれる窓口が用意されています。このような窓口の存在を知り、適時情報を伝えていくことや、検索エンジンに正確に情報が伝わるよう、適切なキーワードを選び反映することは、作成したWebサイトを生かすために最低限必要な対策です。

GoogleがWebサイト管理者をサポートするために提供する無料ツール「Googleウェブマスターツール」のホーム画面です。Googleへ活動を知らせるための窓口としての機能も果たします。

本書におけるSEO対策方針と進め方

本書は、ノウハウ化が難しくなかなか実現しなかった、「高いオリジナリティ」と「検索エンジンからの高い評価」を実現したWebコンテンツの作成方法を体系化し、誰でも効果の高いWebサイトが作成できるようにすることを目的とした書籍です。

本書の構成

本書は以下の構成で、SEO対策に有効で効果の高いWebライティングの方法を解説し、高い成果を上げるWebサイトを実現します。

第2章Webを効果的に利用することで、多くの人が話題にしているテーマを選択し、それをオリジナリティが高く伝わりやすいコンテンツにするための文章の型と、利用者に目的の行動をさせる効果的な3つのストーリータイプを解説します。


第3章:第2章で作成した概略に、検索エンジンに効率的に内容が伝わるようにキーワードを反映するとともに、理解しやすくインパクトがある形にまとめることで、SEO対策の効いたアクション率の高いWebコンテンツに仕上げます。


第4章:SEO効果を発揮するだけでなく、利用者の注意をひき、興味を持たせ、行動を起こさせるキャッチコピーの作成方法を、効果の高い3つの訴求ポイントとその17の実践法に分けて解説し、コンテンツの効果を高めます。


第5章:作成したWebコンテンツの効果を数値で把握し、その値から問題点を見つけ、改善する方法を、ツールによるデータの取得方法からデータの見方、改善ポイントまで解説し、より高い効果が上がるようにします。


第6章:ランディングページやサポートページなどのページの目的や、コーポレートサイトやショップサイト、アフィリエイトサイトなど、サイトの目的に応じたポイントを整理し、目的に合ったより効果の高いWebコンテンツが作成できるようにします。


第7〜9章:Webライティング、SEO対策、Webサイトの運用・管理に便利な無料ツールを紹介し、より効果の高いWebサイトをより効率的に作成・運用・管理できるようにします。

「質」の高いコンテンツを作成し、効果的に伝える

「オリジナリティの高いコンテンツ」を作成し、「検索エンジンに効果的に伝える」ことが、長い間高い効果を発揮するSEO対策です。